2014年10月23日

二流の人・・・坂口安吾

つい先日、坂口安吾の「二流の人」を読みました。

今NHKでやっている大河ドラマにピッタリマッチング。黒田官兵衛(のちに如水と改名)が主役ではあるんですが、官兵衛を取り巻く戦国の著名人のことが安吾独自の解釈で描かれていてとても興味深く読めました。ただ、坂口安吾という人。自分で独自の安吾言葉というか、ちょっと難しい単語が出てくるので、読みにくいという点はありますが、中身はなかなか面白かったです。

なんといっても安吾の「徳川家康」観は本当に的を得ているかなと思いました。この「二流の人」の後に徳川家康というタイトルの家康に焦点を絞った作品もありますが、家康という人物像も一般的なイメージとはちょっと違った評価をしています。家康といえば狸おやじとか言われて、表面上と心の中はまるで違うように書かれているものが多いですが、安吾によれば、家康ほと実直で義理堅い武将は当時としては珍しく、当時は黒田官兵衛のような策士が評価された時代、この時代にあって信長にも秀吉にも裏切りの行為は起こさなかった。と言う事を言っていますが、これをいうと「じっと忍耐強く自分が台頭できる時期を待っていたのだ」という解釈が多いですが、安吾によれば、本心から裏切りなどの行為は良くないと思っていたのだと言っています。

しかも家康という人は非常に小心者で、自分が三成に襲撃されるかもしれないということを聞いたりした時も顔色が変わり、言葉も出なくなるという挙動だったようですが、家康のすごい所はこういう場面があっても、根底にはいつ死んでも良いという深い所でも覚悟があった人なので、落ち着いてそのことを吟味し土壇場になると腹が据わって、とてつもないことができる人だったようです。

このようにこの時代の戦国武将についてのユニークな評価はとても面白く楽しく読めました。多少の文章の読み難さはありますが、なかなか楽しめる作品でした。歴史が好きな人にはおすすめの1冊です。
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2014年09月27日

私の好きなもの「書物編」

不要な本をだいぶ処分したり、ブックオフなどに引き取ってもらったりしましたが、それでもまだかなりの本があります。自分の趣味・・・好きなもののうち音楽、絵画の次にというか同列に好きな読書。色々な本を読みますが、その中でMy favoriteをご紹介してみます。作品そのものもあるし、好きな作家も書いてみました。日本の古典文学も好きで、かなりの量の全集を持っています。最近はあまり読んでいませんが、面白いですよ。秋の夜長の読書の参考になってくれたら良いかなと思います。

日本の古典

「万葉集」
時代の背景もあるのだと思いますが、平安時代よりもずっとおおらかな感じのする歌集で、素朴な歌もありなかなか楽しめる歌集です。

「古今和歌集」
六歌仙や有名歌人も多いけど日本の代表的な和歌集。典雅な歌も結構好きです。

「新古今和歌集」
古今集よりこちらの方が全体的に侘び寂びのある歌が多く、歌集としては古今集よりこちらの方が高い評価を受けているようです。

「今昔物語
たわいもない話もあるけど、陰陽師の安倍清明なども登場してなかなか面白いですよ。


日本の現代作家(純文学系)

「辻邦夫」
「安土往還記」良かったです、信長の話だけどルイス・フロイスという宣教師の視点から書かれています。背教者ユリアヌスという大作があります、私はまだ読んでいませんが、妻が涙なくしては読めなかったという感動の作品らしいです。いつかじっくり読みたいなと思っています。この人の作品はとにかく文章が格調が高いです。他にも天草の雅歌」とか「嵯峨野名月記」など素晴らしい作品がたくさんあります。

「小林秀雄」
やっぱり「モーツァルト」ですかね。「モーツァルトの音楽は疾走する悲しみである」ある意味名言だと思いますが、私はモーツァルトとバッハは天上の音楽だと思っています(そうだ今日は音楽の話ではなかった)

「坂口安吾」
え、こんなことって本当にあるの?と思えるような題材や内容をさりげなくリアルに描いているかなり個性的な作家だと思います。ある意味すごく哲学的。この世の話ではないような話も自然に出てきます。狸が化けてお寺の住職になってしまったり、天空の姫に仕える美女が舞い降りてきたり・・・。虚無と幻想と人間の根源を描いた作品が多いですね。

「谷崎潤一郎」
独特の華やかな香りのする文体と内容。面白いですよ。余談ですがこの人の「細雪」映画になりましたが、この映画に出演された吉永小百合さん、とてもお美しかったです。

「井上靖」
「本覺坊遺文」、これは利休の話だけどね面白かった。この人の文章は淡々と書かれているんだけど、私小説作家などに多い、安っぽい修飾語などが無くてやはり格調の高い文章です。「後白河院」もよかったぁ・・・他にも良いものたくさんあります。

「大江健三郎」
ノーベル賞作家ということで特に有名ですが、独特の感性が感じられる人ですね。登場人物の設定などもちょっと奇想天外な部分もあってなかなかに面白く深い作品が多いです。最近読んだ作品では「燃え上がる緑の木」というのが3部にわたる長編ですが、なかなか良かったです。この作品の評価でノーベル賞貰ったのかもしれません。

「三島由紀夫」
なんと言っても傑作は「豊饒の海」とても面白かったです。この人の独特の美学が際立っていますね。この作品4部作なんですが、最後の第4部「天人五衰」が遺作となってしまいました。この作品では輪廻転生も肯定しています。

「加賀乙彦」
死刑囚を題材にした「宣告」も良かったけど、自身の経験にも基づいた「フランドルの冬」が結構良かったです。

「帚木蓬生」
「閉鎖病棟」が面白かったかな。「安楽病棟」という作品は、これから高齢の人が増えていくことについて、問題提起をしている内容で、ちょっと考えさせられましたね。この人も加賀さんと同じでお医者さんなので病院のことについては本当にリアルです。

「安部公房」
この人の独特なシュールな世界に入ってしまうと、ある意味虜になってしまいます。本当に面白い。この人も臨床医にこそなってはいませんが大学は医学部卒。理数系の人の書く小説って独特の感性でなかなか面白いです。「箱男」なんか最高!この人の本もかなり所有しています。余談ですが、この人、箱根に家があったんですね。箱根は冬、結構雪が積もります。それで車で移動するのに従来のタイヤチェーンでは取り付けが大変。それで自分で簡単に取り外しのできるゴムを利用したタイヤチェーンを発明しました。確かこれの特許ももっていたと思います。こういう違った才能のある人って面白いですね。

「遠藤周作」
キリスト教系の話が多いですが、小説としてはなかなか面白く、深いものが多いです。代表作の「沈黙」良かったです。

「水上勉」
日本的な情緒をたたえた作家です。ちょっと暗いイメージもありますが、西洋人には多分絶対と言っていいほど書けない日本的な内容と文章です。人によってはこの最大の特徴が嫌いという人もいますね。

日本の現代作家(エンタメ系)

※エンタメ系と言っても純文学に近いものもあるし、すごく人間性を探求したものもあります。ジャンル分けはあまり好きではないですが、一応分かりやすくするために分けました。

「松本清張」
この人はものすごい多作家。随分読みましたが、再度読み直しても面白い。このひとの文章も淡々としているんだけど純文学系の人が書くような文体で、もちろん時代を感じさせるものが多いですが、そこがまたなんともノスタルジーがあって、単なる推理小説の域を超えています。

「筒井康隆」
何と言ってもこの人の作品は奇想天外な発想がとても面白いです。SF作家というイメージですが、真の意味でエンターテインメント作家と言えると思います。

「小松左京」
やはり何と言っても面白かったのは「日本沈没」一読あれ。

「宮部みゆき」
ものすごい多作家。現代物のミステリーも面白いですが、時代物もなかなかです。何と言ってもこの人の特徴は読後感が良いのです。なぜか、どんな悪人でもどこか救いようのある人物に書いてあるし、人間とは真から悪い人はいないという性善説的な考えが基調になっているからかもしれません。この人の文章は本当に闊達というか職人芸といえるほど文章も上手いです。宮部さんのことはこちらにも詳しく書いてあります。
http://godspokeme.seesaa.net/article/156052828.html

「京極夏彦」
独自の小説世界を持っている人で、ちょっと澁澤龍彦などにも通じるものがあるような気がします。おどろおどろしい作品が多いです。

「高橋克彦」
「前世の記憶」などという作品があるように、ちょっとスピリチュアル系の話も書く作家です。なかなか面白いです。

「藤沢周平」
時代小説、といったらこの人ははずせません。単純に楽しめます。人情話もあります。

「小池真理子」
推理、サスペンス、ちょっと女性的な感性が鼻に付くところもありますが、娯楽小説として読む分にはなかなか面白く楽しめます。人間の異常性みたいなところに着目しているのも興味深く面白いですよ。

「乃南アサ」
なかなか細やかな心理描写と筋書き自体の面白さもあって、女性のサスペ ンス、ミステリー作家のなかではかなり面白い作品を書く人です。音道貴子という女刑事が出てくるシリーズ物より、他の作品の方がレベルが高いような気がします。もちろん好き好きですが。

その他の作者・・・小説家やエッセイストなど以外の人です。

山下洋輔
本業はご存知のようにピアニストですが、エッセイ的な読み物が以外に面白いのです。ドタバタ喜劇のような書き方をしていますが、鋭い観察力と音楽家の現場の裏側などもわかりとても楽しめます。シリーズもので10冊くらいは文庫になっています。何と言ってもタモリさんを発見した時のリアルなライブ感は最初の本に書いてあってタモリ誕生のいきさつがよくわかります。また、この人の音楽観を真摯に語った「風雲ジャズ帖」という名著もあります。

池田晶子
池田さんのことはこちらに詳しく書いてあります。
http://derive.biz/person/p2.html

その他にもパラマハンサ・ヨガナンダさんとかクリシュナムルティさんとかの著作もありますが、こちらはちょっと普通の文章家とは違うので省略します。(世界的には超有名な人たちですけどね)

矢作直樹
こちらも普通の創作文を書く方ではないので省略します。


こちらからは好きな作品についてです。

「三国志」
中国は今は何かと批判を受けている国ですが、この三国志の時代はなかなか傑出した人物が数多く輩出したようです。今はちょっと後戻りしちゃっているんですかね。当時の歴史の流れ、登場人物の多彩さ、とにかく面白いです。「吉川英次」、「北方謙三」の全巻は所有していて読みました。今度は宮城谷昌光氏の三国志を読んでみたいです。劇画ですが曹操を主人公にした「蒼天航路」がなかなか面白かったですね。絵がすごくリアルで綺麗です。それとこれは読み物ではありませんが、NHKでやっていた三国志の人形劇も面白かったです。

「ゴルゴ13」
この面白さはあらゆることに超人的な能力を持った、完璧無比のG13と世界を舞台にした話がとても面白く、下手なエンタメ小説より断然面白いです。ただ、世界情勢などについてよく理解していないとちょっとわかり難いところもあります。変な意味で勉強にもなります。

「じゃりん子チエ」
漫画とはいえ、文学です。人間より人間臭い猫2匹の活躍もとても面白いです。故、「井上ひさし」さんも絶賛していた作品です。

「ブラック・ジャック」
あまりに有名な手塚治さんの代表作。無条件に面白いです。

他にも好きな作家や作品数多くありますが、キリが無いのでこの辺にしておきます。

ラベル:文学 趣味
posted by ニャン吉 at 21:13| Comment(0) | 趣味 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月06日

佐村河内(さむらごうち)守さんのこと

佐村河内(さむらごうち)守さんという人の書いた曲がゴーストライターの書いた
ものだということが暴露されて、今話題になっていますが、こういう問題はある意味
人の芸術などに対する思惑や評価能力を試される事件でもありますね。

芸能人の書いた書物などほとんどがゴーストライターが書いたものというのは
実際にゴーストライターをしていた人から聞いたことがあります。ただ、今回は
純粋音楽ということなので問題になっているのだと思います。確かに騙し続けた
ことは良くないことではありますが、盗作ではないので、それほど目くじらをたてる
ことでもないかなと、真の作者がわかったのですから、真の作者のクレジットで
これからも演奏したりすればよいと思います。

管理人は聴いたことが無いので何とも言えませんが、この人が作ったという曲が素晴らしい
と評価した人はすごく多かったということなんですよね。ただ、これが
純粋に音楽に惚れ込んだ評価だったのかどうかということは疑問です。耳が聞こえない、
不幸な経験や経済的な苦労にもかかわらず良い作品を書いた・・・そういう人の作った
作品だからという付加的な部分を重要視しての上辺だけの評価だったんでしょうね。

本当に作品を評価していたのなら、真の作者の新垣氏の作品として素晴らしさを認める
べきだと思いますがいかがでしょうか・・・。演奏会を中止したり、まあこれは興行的な
訂正が必要なので仕方がないとも思いますが、音楽そのものの評価まで変えてしまうのは
どうかと思いますね。またこういう事件があると、まるで関係のない一般人の多くが
当事者をバッシングしたりします。こういう醜い行為は遠慮して欲しいですね。

また、佐村河内氏の耳が聞こえないということがウソであるということ、マスコミなど
なぜ見抜けなかったのでしょうか?今朝、テレビの報道番組を見ていたら佐村河内氏が
曲作りについて話しているVTRが流れていましたが、え?っと思いました。
この人の耳正常でしょ、とすぐにわかりました。全聾の人はあんなにスムーズに言葉を
発することができません。後天的に聞こえなくなった人でも過去の体で覚えている
発音方法でしゃべる方もいますが、かなり聞き取りにくい言葉になります。これは当たり前の
ことで自分の発声している音が聞こえないのですから、上手くしゃべれないのは当然なのです。

とにかく多くの人が真の意味で芸術や音楽というものを自分の感性で評価していないのです。
人が良いというからとか、作品の創造の過程や作った人物のエピソードなどで評価されがち
ですが、もっと純粋に作品そのものを見極めて評価したいものですね。
posted by ニャン吉 at 20:00| Comment(0) | 話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする